2年前にDさんに言われたこと

ちょうど2年くらい前に、今は九州に移動になってしま
ったDさんにこんな質問をしたことがある。(Dさんは自
分の意見をきちんと言える人だった。)


「今のうちの研究室のテーマでもっともよいテーマとも
 っともよくないテーマをそれぞれ3つ教えてください。



Dさんはこんなふうに答えた。
良いテーマは、
(1) 米国系企業向けOEM製品の開発
(2) 彼らのテーマ
悪いテーマは、
(1) 人をサポートするテーマ
(2) 私たちのテーマ


良いテーマについては、やはり事業部がもう入っている
からだと言っている。要は商品化に一番近い、というこ
とだ。そして悪いテーマについては、どちらも筋がよく
ない、といっている。これはたぶん事業部の受け皿がな
い、ということだろう。


そして、2年後...


結局、彼らのテーマは事業部で受け入れられずに消滅。
担当者はやるテーマがなく無職状態に。そして、私のテ
ーマは事業部で商品化を推進中。


ここから言えるのは、結局は未来はわからない、という
こと。それと、事業部が受け入れるかどうかは成功の定
義ではない、ということだ。結局は事業部がやるかどう
かは事業部の人が主観で決めるわけだ。でもその主観が
必ずしも正しいわけではない。そうではなく、やってい
ること自体に本当に価値があるかどうかを考え続けるこ
とのほうが重要なのではないだろうか。事業部がくっつ
いている、くっついてない、で筋がいい悪いというのも
違うと思う。それだったらもっと事業部がよろこびそう
な即効性のある開発をすればいいだけのことだ。


事業部が受け入れたからいい、というのはまやかしだ。
これはこっちにきてよくわかる。こっちではそんなリス
クはおかせないから、「コスト低減」or「既存商品の改
良」or「確実に需要が見込める」というものしかできな
い。でも、「確実に需要が見込める」となってからでは
遅いのだ。その価値に気付けるかどうかに研究者として
の価値があるように思う。