社長の日記

社長の日記がある。不定期に更新されている。今回は、
現場を歩く、というような内容だった。毎回、工場を訪
問し、そこで若手懇談会と称して、主に30歳台の社員に
集まってもらって話をするというものだ。集まった方々
が思った以上にしっかりとした考えを持ち、仕事に取り
組んでいることがわかり、大変感心されているとのこと
だ。


しかし、よく考えてみよう。社長がわざわざ工場を訪れ
て話をする、なんてことになったらどんな社員が選ばれ
るだろう。間違いなく、エース級の信頼がおける社員が
選ばれるはずだ。
また、そうした人間が数週間も前から社長と話すために
いろいろと話すことを考え、しっかりと準備するのだ。


ここまでお膳立てがあれば、そりゃー、「しっかりとし
た考え」と思えて当然ではないだろうか。


これをもって、「私は現場を歩いている」というほうが
違和感を感じる。結局それは日常ではないし、現場でも
現実でもないからだ。
本当に現実を知りたいのであれば、アポなしで工場を訪
問し、責任者の社員に対して矢継ぎ早に質問を投げかけ
ればよいのだ。
要は何も考えていないのがよくわかる。そして、本当に
日常的に考えている人間であれば、そうした突発的な状
況ではあっても話はできるはずだ。


これが現実だと思う。