新事業着手の条件

以前、事業着手の条件として、次の3つがある、と教えて
もらった。

  1. 今まで見たことがない
  2. 1年以内に着手可能(現実性)
  3. 賛成者と反対者が半々程度



この(3)が重要である。全員がこれはいい、というものは
既に別の誰かが考えている可能性が高い。また、全員が
反対というものは、そもそも魅力がないと考えられる。
そう考えると「賛成」と「反対」が同じくらいいるよう
な状況が望ましい。


確かに理屈の上ではその通りだ、と納得していたが、ピン
ポイントの事例には出会ってなかった。それが今日出会っ
た。「技術仕様能力向上...」の研修に参加したのだが、
そこの講師が自身の次の経験談で語っていた。


工務店向けのエンジニアリング商品を開発していたとき
に、取り付けがネジではなく差し込むだけでできるもの
を作った。要はネジいらずなので、誰でも簡単に取り付け
られます、という商品だった。早速それを工務店の人に
見せにいったところ、賛成と反対が3:7、よくて4:6だった
という。たいていの人は、「本当にこんなんでちゃんと
接続できるか不安だよ。だいたいネジを締めるのが俺たち
の仕事だ。誰も買わないよ。」と言っていたという。でも
、若い人に話を聞くこと、「これはいい。これからはこう
いうものにドンドンしていくべきだ。初心者でもこれだっ
たら取り付けることができるからいい!」という反応だっ
たという。
でも、実際は反対者の方が多いのでディシジョンに困った
という。そして、結局、一度に全部を発売せず、一部のも
のから発売してみよう、ということで発売してみた。
すると、次から次へと受注が入り、結局全ての品番をこの
タイプに置き換えたという。


この方は意識はしていなかったが、まさしく新事業着手の
賛成と反対が両方いる、というその状況だった。そして、
そこでも着目するのが、大賛成の人と反対の人がいる、と
いうことだ。これはすごいと思った。他人の経験ながらこ
の話を聞けたのはとても価値がある。また、始める際も、
大きく始めようとせず、小さく始めた。これもまた、ベン
チャーの基本である。一商品の事例ではあるが、社内の中
にも探せばこういう素晴らしい事例があるのだ。今日は、
これだけでもいい話が聞けてよかった。


また他の出席者の失敗談義も聞けたし、ひさびさに有意義
な研修だった。