全体のモチベーション

引越し前の最後の日、いろいろと忙しくはあったが、最後にチュ
ータのTさんと飲みにいってきた。その中で2つの話が印象に残っ
た。

① 赤字事業の経験
Tさんは、以前赤字事業部にいたという。表立っては、そんなに
危機感を煽ることはなかったが、うちうちでは、みんなが危ない
だろう、という話はしていたと思う。ロードマップに書くことは
なく、新商品の企画も「これは売れないだろう...」みたいなも
の。それでも設計は作っていかなければ仕方がない。そんな中で
トップが言うことは、「コストを下げろ」だけ。そして人はどん
どん減っていく...。5,6人いた設計のメンバーも最後には、2人
しかいなくなっていた。仕事は山ほどある、クレーム処理から、
売れない商品の開発、休みもなくTさんも働いていた。
そして最後のメンバーのうちの1人であるTさんにも別の部署への
異動が言い渡された。そのときのTさんが思ったことは、「どうし
て自分を異動させるんだ!自分が異動になったら、設計には人間
が1人しかいなくなってしまう。彼だけおいて出て行けない...。
」というものだったという。


その後、まもなくその事業は吸収合併されて、もとのメンバーは
散り散りになった。


社員は真面目に働いている。でも、利益がでない。決してTさんも
そこから逃げたいとは思っていなかった。でも、残っていたとし
ても何もできなかった、というのはやはり事実ではないだろうか




② 全体のモチベーション
「3期連続で増収増益を達成しても、会社全体のモチベーションは
高くないように感じる。昔(15年前くらい)はそうじゃなかったよ
うに思うのだが、昔と今を比べてどうなのか?」
という質問をTさんにしてみた。


Tさんは、「昔はみんながある程度上にいくことができた。一度の
チャンスを逃しても、それでダメということはなかった。今は一
度チャンスを逃せば、もう上にいく望みが絶たれてしまう。それ
ではなかなかモチベーションもあがらないかもしれない。」
といっていた。
私が「それは、いいことなのかよくないことなのか。」というこ
とを聞いた。
すると、Tさんは、「成果主義という考えのもとではしかたない
し、会社が変わろうとしている過渡期としては必要なのかもしれ
ない。」とおっしゃられていた。


でも、成果主義って、モチベーションを削ぐことをいうのだろう
か。きっと別の形の成果主義があるべき姿だと思う。


別の視点から見ると、私は、コストを下げた結果の増収増益だと
思う。無駄を取り除いた結果、なんとか利益を出している、とい
う状態の増収増益ではないだろうか。昔はもっと頑張った成果が
増収増益に結びつくような経済状況だったように思う。