トップのやりたいこと

グループ長の移動が決まった。1年前に移動してきて、ちょうど
1年で移動になった。まったくの畑違いの分野でのマネージメン
トは大変だったと思うが、結局、最後までビジョンを打ち出す
ことはできなかったと思う。


グループ長は、「スーパースターじゃなく、普通の人でも研究
テーマを継続的に出していける仕組みを作りたい」「その中で
やりたいことを見つけて、それぞれがやりたいことをやってほ
しい」とよく口にしていた。そのために、実験場の充実やミー
ティングの開催などを精力的に行っていた。


しかし、僕が思うに、研究所という組織ではやはり、「やりた
いこと」が研究テーマにつながっていくのだと思う。事業化が
決まっているわけでもなく、誰もネタを与えてくれない、と
なれば自ずとモチベーションはそこになってくるはずだ。でも
そうなかなか「やりたいこと」は見つかるものではない。
  ・スーパースター やりたいことがある
  ・普通の人    やりたいことがわからない
というのが世の中というものではないだろうか。


仮に、グループ長は、「みんながやりたいことをやる」と
言ってはいるが、じゃー逆に自分自身が「技術的に何がや
りたいんですか?」と聞かれても答えはないはずだ。


組織としてのビジョンがあれば、グループ長がどう言おう
と自律的にそれぞれがやりたいことを見つけていくはずで
ある。しかし、そうではない現状の組織では、グループ長
自身が何をやりたいかわからなければ、その下はさらにわ
からなくなると思う。


技術者の甘えといえばそれまでかもしれないが、創造的な
思考は全くの大草原では出てこず、ある制約条件の中で出
てくるものだと思う。ここで言えば、それはグループのビ
ジョンがその制約条件として思考の手助けをしてくれるの
ではないだろうか。


というわけで、引き続き、ビジョン(構想)を考える必要が
あるわけだ。