尊敬できるビジネスパーソン

技術担当役のYさんに活動報告を行った。もし今の仕事をしてい
なかったら、直接Yさんに報告することなどなかっただろう。そ
ういう意味ではありがたい限りだ。


それにしても、Yさんの評判はまったくよくない。「品がよくな
い」「自分を守ろうとする」「小さい、細かい」「罵倒する」な
ど、いろいろと話を聞く。確かに威圧感はとてもあるし、あまり
積極的話かけにいきたくなるタイプではない。振り返ると、Yさ
んをよく言っている人を知らない...。


そんなYさんい対して、今回初めての報告を行った。


いくつか指摘項目があったが、印象に残ったのは2点だ。


1点目は現地の大学教授と技術移転のプロジェクトを推進してい
るが、その技術のブラックボックスについだ。教授は、数千万円
の契約をするまでその技術の中身まではオープンにしようとして
なかった。実際に性能は確認しているが。それに対して、Yさん
はパテントを出しているのであれば、それをオープンにさせろ、
ということだった。確かに考えてみればその通りだ。パテントを
出しているのであれば、それでその技術は守られるはず。逆にそ
うしていないのであれば、きちんとパテントを出せ、というべき
である。そうでないと、あるのかないのかわからない技術に対し
てはお金は出せない。ごく当たり前のことだが、そういうネゴシ
エーションを事前にできていなかったのは自分たちの落ち度だ。


もう1つは、緊迫感を伝えることがミッションということだ。ど
んなに「この市場は伸びます」と日本に訴えたところで、日本側
が動かないのは自明である。たんに調査会社を使ってデータを出
すだけであれば自分たちがインドにいる意味はない。直接日本と
調査会社でやればいいだけだ。そうではなく、わざわざ高いコス
トをかけてインドに人を置くというのは、現場にいなきゃわから
ないことを日本に伝えるのが仕事だということ。街中の様子でも
いい、CMでもいい、例えば、韓国企業の動向でもいい、そうい
う肌で感じる緊迫感を伝えてほしい、ということだった。


いずれの指摘ももっともであり、理にかなっていると思った。多
くの人はYさんのことはネガティブに言うが、ビジネスとしては
理にかなった判断をしているし、ビジネスパーソンとして尊敬で
きると思う。(多くの人は、人間性の部分を悪くいっているし..
.。)


夜はOさんと食事にいったが、OさんもやはりYさんのこ
とは特異ではないんみたいだ。ただ、Oさんにとっても、Yさん
に指摘を受けるからこそ、まだまだビジネスパーソンとして伸び
ることができるのだと思う。そうやって、指摘してくれる人がい
ることはありがたいことではないだろうか。誰からの指摘も指摘
も受けなくなったときに自分で自分の気付かない部分に気付くと
いうのはなかなかできないことだと思う。そうやって人は成長が
止まっていくのだ。


ちょっと話はそれたが、サラリーマンとしてYさんは1つの極め
た姿なんだろうな、というふうに見えた。