ライフネットの出口治明氏

グロービスの講演でライフネット社長の出口治明氏の
講演を聴きに行ってきた。岩瀬氏のときは机を並べる
余裕もないほど満席な状態だったが、今回は拍子抜け
するぐらいの人数しかいなかった。まぁ、グロービス
で講演するぐらいだから、みんな保険っていうよりも
岩瀬氏のハーバードMBAに興味があるからそういう客の
入りになるんだろうな。


僕としては、出口氏にものすごく興味があった。岩瀬
氏は自分の講演の中で出口氏のことを「ものすごくス
ケールの大きい人、切り口が日本人の弥生時代は...
からみたいな感じ」と評していた。岩瀬氏をもってし
てそのように評される人って...。


実際、話を聞いてみると、ものすごくゆっくりとした
語り口でかつわかりやすく話されていた。出口氏のそ
のスケールは会社をはじめたきっかけを話していた際
に「別に岩瀬くんでなくても誰でもよかった」なんて
話していたあたりにそれが現れているんだと思う。で
も、実際はものすごく互いを信頼しあっているパート
ナーだと思っていることは間違いない。


僕の印象として、岩瀬氏との違いとして感じたのは、
それはコンサルタントの世界に岩瀬さんが身をおき、
かつMBAで得たそれと、ずーっと保険という事業会社の
中で生きてきた人のそれ、という感じだろうか。「そ
れ」というのはうまくは表現できないがたぶんそうい
う違いなんだと思う。


とにかく講演いただいた内容をほぼ全部というぐらい
メモってしまったのだが、印象に残ったポイントだけ
をここには書きたいと思う。


(1) 保険の起源
そもそも、起業の思想に保険をあるべき姿にしたい、
というその思いがあるため、その保険のそもそもの思
想から語ってくださった。"海上火災"はまさにそこか
らくるというものだという。へぇ、という話だ。まぁ
そこに自社の理念がつながるっていうのが何よりもす
ごいところなんだろうが。つまりは原理原則に則って
考えたときに保険ってこうなるんだよね、という話な
んだと思う。愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶと
いうがまさにそういうことをここでは感じた。


(2) 若い人がやるべきこと
出口さん自身もそうではあるが、歴史を学び、地理を
知り、可能であれば自分の足で歩き回ること、とおっ
しゃられていた。
それと、40歳までは株よりも外貨よりも何よりも、自
分への投資が一番リターンが大きい、と言っていた。
まさにその通りだと思った。またこれを、「僕はエコ
ノミストとしても自信があったんだけど...」という
前おきで言ってたのがよかった。


(3) エリート
海国図誌と林則除の話をしてくださった。その中で、
林則除をもってして、これをエリートという、とされ
ていた。「時間と空間を越えて公のことを考えられる
人、それがエリートです」という話だった。その話の
プロセスがないと伝われないかもしれないがやっぱり
そういうことなんだろうと思う。富山和彦氏が内村鑑
三の言葉を用いて、後世への最大遺物ということをお
っしゃられていたが、それに近いことなんだろう。


(4) 名刺交換
さて、最後にFACTAという雑誌を紹介してくださった。
それは早速購読した。中身もよく確認しなかったが、
とにかくそれは信用に値するものだと感じたから。
そしてその後は自ら名刺交換を申し出て、質問があれ
ば直接してください、ということをおっしゃられてい
た。果たしてここまでできる社長がどこまでできるだ
ろうか。でも、これは僕が思うことなのだが、たぶん
どんなにたくさん、質問等がこようとそれに答えるの
はそれほど手間ではないと思う。要はそれまでに考え
てさえいれば、後はメールをうつだけの話なのだから
。そういうのが問題になったり、手間になったりする
としたらそれは考えていないだけの話だ。考えていな
いから対応できないよ、とそれだけなんだと思う。で
も、それを実際にできる人はなかなかいないだろう。




人としての深さというのをものすごく感じた。底知れ
ぬ、とはこのことをいうのだろうか。いずれにしても
僕はまぁ自分で自分を読書狂といえるぐらいには自信
をもてるようになろうっと。