自分の経験を否定する

誰かに何かのアドバイスをするとなった場合、たいて
いの人は自分の経験から話をする。逆にいうと、そこ
からしかアドバイスなんていうのはできない、ともい
える。だって他にどういう道があったかなんていうの
は経験していないんだからわかりようがない。


大学に進学した人は進学した方がいい、というし、就
職せずに起業した人はできるだけ早く起業した方がい
いというし、大企業を経験して起業した人は大企業を
経験したほうがいいという。そういうものだと思う。


特に自分に自信がある人、もしくはある程度の地位を
確立した人はそういうはずだ。一方で、自分の経験を
否定的に話す人っていうのは現状の自分に満足してい
ない人だろう。あのときああしてたら、とかあそこで
こっちに進んでいたら、なんていう感じかな。


一方で、ある程度成功したにも関わらず自分の経験を
否定的に語ることなんていうのはできるだろうか。こ
れはなかなかできないと思う。


そう考えると、大企業の仕組みの中でトップまでのぼ
りつめた人がその大企業の仕組みを変革するというの
は難しいことだと思う。なぜならその人はその仕組み
があったおかげで今の自分があるわけだから、その仕
組みを変革する、というのはある意味自分が成功して
きた仕組みを否定することになるからだ。


ある程度、上まで行った人ならばその仕組みの中でど
ういうふうに自分が成長し成功してきたかを人は語る
はずだ。仕組み自体の否定はなかなかできないはずだ



では、大企業の中で仕組みを変えるとしたらどうした
らいいだろうか。やっぱりそのためには自分自身が徹
底的に自己否定できるように常に自己観省しなければ
ならない。また、自分ができないのであれば、別の異
質の経験をもった人間がその役割を担うしかないだろ
う。外部から人材を招くというのはそういう役割を期
待してのことだ。


いずれにしても、仕組み、ルールというレベルで常に
物事を見ていなければ、自分が時代遅れのルールの中
でのみしか生きていけない、ということすらわからな
くなってしまうと思う。