苦言を呈する

Dさんが出張でこちらにきていたようで、ひょっこりと
事務所に顔を出してきた。その際に、Dさんは、Sさんに
こんなことを言っていた。


「研究所で一生懸命やってもそれを受けない事業部が悪
いんだ。事業部にしてもいまのやりかたで全然うまくい
っていないんだから、そうであるならばリスクをとらな
いとダメなんだ。事業部はリスクもとらないくせにえら
そうにいうべきではない。」


まぁ、Dさんは元々研究所であり、さらにはSさんの技術
が事業部で受けてもらえないからそういうようなことを
言っていたのだ。


自分たちの仲間うちでテーマがうまくいっていない人が
いたらたいていはDさんと同じようなことが言うのでは
ないだろうか。
「お前は悪くないよ」「テーマはいいのにそれを認めな
い人が悪いんだ」みたいに。


でも、それは本当に仲間を思っていることにはならない
と思う。本当に仲間を思うのであれば、こうしたぬるま
湯的な温かさではなく、厳しさが必要なのではないだろ
うか。
要は今の環境には本気で議論を戦わせて、自分たちがや
っていることが正しいのかどうか、本質的な価値を問う
ようなことがまずない。ぬるま湯的にお互いに慰めあっ
ているだけでは何も先には進まないと思う。


ときには勇気をもって苦言を呈することができること、
それが本当の仲間だと思う。


でも、歳をとっていくにつれてどんどんと苦言を呈する
人がいなくなっていくのが現実だ。だから、自分自身に
苦言を呈することができるようになっていかなければな
らない。