IDEOのスタイル

いままで、IDEOの説明を人にするときに、「デザインコ
ンサルティングの会社で、徹底したユーザ観察とプロト
タイプの作成を行っている。iPodなんかのデザインをし
たりしている。」なんていう説明をしていた。


ところが、全く自分は何もわかっていなかった。IDEO
デザインに携わったのはAppleのマウスであり、iPod
はないのだ。


これは、紺野登氏の「知識デザイン企業」を読むことで
理解した。そこには以下のようにある。


「かつてIDEOのデザイナーはアップルのマウス開発に関
わったという経緯を持つが、iPodIDEOが関わったデザ
インではない。というより、IDEOのアプローチからは
iPodは生まれて来なかった。IDEO的アプローチの根幹に
あるのは、ユーザ観察やブレーン・ストーミングなどか
ら成るイノベーションのための方法論(プロセス)である
が、より大きな意味を持つのは、その多彩な人材が、共
通言語であるデザインを媒介に、イノベーションを意図
的なプログラムとして展開できる能力である。その基点
は徹底したユーザーの現場におけるフィールドワークに
ある。一方、アップルは、スティーブ・ジョブズのカム
バック以降、徹底的な製品へのこだわり、それを取り巻
くサービス、ビジネスをまとめ上げていくプロデュース
を特徴としてきた。そこでは、必ずしもユーザーは基点
ではない。その背後にあるのは、ユーザーが経験したこ
とのないコンセプトについて聞いたりすることや市場の
行く末についてのユーザーの反応には期待できない、と
いう確固たる思想である。ユーザー調査に頼らないとい
うのは全盛期のソニーにも共通している考え方だ。」


表面上のなんとなくの理解だけに頼り、その思想までを
理解しようとしないと、こうした単純な勘違いに陥るの
である。