TransformationalMetaphors

MDN主催のZIBAのセミナーがあったので、年休をとって
参加してきた。本来、30,000円の参加費がかかるところ
だったが、会社のデザイン部が協賛をしているらしく、
ありがたく会社枠で参加させてもらうことができた。


以下、セミナーの概要である。


Transformational Metaphors を使って、商品コンセプ
ト、空間コンセプトを考えていく。


Transformational Metaphors というのは、元々あるモ
ノに対して社会や個人が経験として意味を感じている
ものを別のものにシフトすることである。


事例は下記のようなものだ。


地方銀行ブティックホテルのメタファー
iMac:ひまわり
衛星ラジオ:トランジスタラジオ
火災報知器:浮き輪
アップルストアヘルプデスク:バー


つまり、地方銀行であれば、その銀行の空間、行員とのやり
とりなど、全てがまるでブティックホテルにいるような感じ
になるようにすることである。そうすることで、銀行の難解
な業務コンセプトがシンプルになり、また顧客に感情的利益
をもたらす。そして顧客に期待をシフトさせることができる
のだ。


では、そのメタファーを探し出すステップだ。それは、4つ
ある。


(1) ターゲット顧客の個人的および社会的な体験(ヒストリ
ー)を特定すること。
(2) その製品/サービスを提供する企業の社風(カルチャー)
を明瞭化すること。
(3) 提供される特定の製品/サービスの価値を定義すること

(4) その製品/サービスを消費者につなげるメタファーを発
見すること。


そのメタファーの特徴は、3つある。それは、関連性と差異
性と信憑性だ。


関連性は、そのメタファーがターゲットに理解されるか、と
いうものだ。銀行の例でいうと、元々のスローバンクという
コンセプトがブティックホテルと合致していることがいえる



差異性はそれが他社との差別化につながるかということだ。
同じようなメタファーが他に存在していないこともポイント
だ。


信憑性は、本当にその企業がそのメタファーを顧客に提供で
きるか、ということだ。仮に都市銀行が同じようなメタファ
ーを使っても、顧客はそれを信用はしてくれない。地方銀行
のきめ細かいサービスがあるからこそ信憑性が生まれるのだ



それから、アップルストアのメタファーとLGの携帯電話のメ
タファーについてワークショップを行って終わった。


感想.....


・まず、企業のDNAを考えるという点だ。戦略コンサルティ
ングファームなどでいえば、今のトレンド、顧客分析に基
づいてベストプラクティスはこれです、というような分析
的答えが出てくると思う。しかし、ZIBAの場合は、ターゲ
ットとその企業が変われば、メタファーは変わる。これは
コロンブスの卵的だが、新鮮だった。
・事例の評価を全部最高点(5段階で5点)としていたが、それ
はちょっとよく言いすぎだと思う。じゃーどうだったらそ
れが4点でなんだったら3点なのか、という説明は欲しかっ
た。ここは質問すべきだった。本当にこれを使おうとなる
とこのメタファーの評価が人によって変わってくるので、
そこをどこまでできるのか、というのがキーポイントにな
ると思う。
・やっぱりツールを理解するにはダメな例を知る必要がある
。いい事例ばかり聞いても身につかない。例えば、全部評
価が5点だっただけどうまくいかなかって例、もしくは評
価はいまいちだったけどうまくいった例などを出す。そし
て振り返ってみて、メタファーとどういうギャップがあっ
たのか、なんていうのを説明したらより理解が進むと思う
。まぁ、それをするとコンサルティングにならないのかも
しれないが。
セミナーの募集要項には経営者やマネージャークラスと書
いてあって、ちょっとびびってたが、実際に来ていたのは
、やっぱりデザイン雑誌だけあり、現場のデザイナーの方
々だった。あまりデザイナーと関わる機会がないので、得
体の知れないものに触れる感じではいたのだが、なかなか
あまり切れ味の鋭さを感じることはできなかった。そうい
う意味では物足りなかった。
・やっぱり重要だと思ったのは、ツールを受け身で学ぶので
はなく、自らツールを確立することだと思う。そのレベル
に立ってZIBAとビジネスをすることで初めて意味があるよ
うに思える。また単にセミナーに参加するだけでは、何も
身につかない。何はともかくやってみなければ身にはつか
ない。それを実感した。
・反省点は、もっと質問すればよかった...ということだ。
・それと、身銭を切って30,000円だったらちょっと高いよう
に思えた...。
・この「Transformational Metaphors」のもう一つの利点は
イデアのきっかけになるということだ。クルーとなるも
 のが存在することでアイデアを出しやすくもなるし、それ
の良し悪しも判断しやすくなる。