MOTセミナー

日経経済新聞が主催する「MOTセミナー」に参加してき
た。プログラム以下の通りだ。


14:05〜15:00 基調講演
テーマ: 「企業経営とイノベーション
講師: 久間 和生氏
三菱電機株式会社 常務執行役開発本部長)
15:00〜15:45 MOTスクールPR
テーマ: 「イノベーションリーダー育成のための実践的
MOT(技術経営)教育」
講師: 松本 毅氏
(株式会社アイさぽーと 取締役 研修・スクール事業本
部長
(兼任 大阪工業大学工学部 技術マネジメント学科 客
員教授)
16:00〜17:00 プレMOTスクール
テーマ: 「付加価値創造の最大化を目指した技術経営」
講師: 延岡 健太郎
神戸大学 経済経営研究所 教授)


ここでは、延岡健太郎氏の話の内容をメモとして残す。


MOTとは製造業の経営をよくするもの。
付加価値とは利益のようなもの。長期利益。
「安く作って高く売る」は日本文化にしっくりこない。
「良いものを安く作る」は日本文化にしっくりくる。
「良いものを安く売る」から「安く作って高く売る」へ
。「高く売る=新しい意独自の価値の創出=社会貢献」
トヨタは税金8,000億円。社員を10万人とすると、1人
800万円を国に収めている。それができているのが、自
動車業界で、できていないのが電機。どちらも上位5社
の売上を総計するとほぼ同じ。ただし、利益は全然違う

日本はものづくりで経済を支えている。1993年頃その
頃一番技術者のエリートがいった会社が今苦しんでい
る。
電機がもっと利益を出せば、消費税をあげなくてすむ。
日立なんて2000人ちかくのドクターがいる。
価値を創る=安く買ったものを高く売る。
価格競争、もうからない。同じものを製造しているから
。悪い企業、日立、NEC、なんのためにやっているのか
わからない。
薄型TV、DVD、デジカメ、いずれも日本企業が作った。
とにかく価格が下がる。ブルーレイもまだもうかってい
ない。
自動車と比べるとすごいことやっているのに儲からない
。これを解決するのがMOT
80年代最後が電機のピーク。ここでもうけたのがビデオ
。ビデオだけで2兆円の利益。DVDプレーヤーは一気に
9,980円に。
VISIO。07年のアメリカでLCDシェアNo1。
42inchで999ドル、プラズマ50inchで1490ドル。
産業全体として儲けにくい。
全ての産業がそう。自動車は例外。
自動車はとにかくものづくりを一生懸命やっていればい
いという産業、いまのところ。
付加価値=価値創造+価値利益。
価値が獲得できていない。
知財、こんなにお客さん喜んでも、技術がよくても儲か
らない、囲いこまないとダメと考えた。その結果、知財
が流行った。
環境が変わったというよりも当たり前のことが起きてい
るだけ。70年代は隠れていた。付加価値つけないと儲か
らないだけ。
電機は5社くらいあって、1社がなくても別に困らない。
日立のPCがなくなっても、三菱の携帯がなくなっても、
誰も悲しんでない。これじゃだめ。
30%、40%コストダウンしても、他がコストダウンしたら
いっしょ。30%コストダウンしても値段が下がるだけ。
VISIOLCDDELL
アメリカはバリューキャプチャでやている。
ビジネスの基本。
でも、技術は蓄積がものをいう。
どういう形で反映されるかわからない。
松下のデジカメ。支えているのはレンズ。
手ブレ、レンズ、CCD。
松下はムービー儲かってない。どの技術が何で儲かるか
なんて考えるほうがおかしい。
バリューキャプチャでいくべき。
レッツノート、30g軽くする。
それでDELLと比べてどれだけ儲かるの?
でも、エンジニアのこうした積み重ねは大きいもの。
プロジェクトX。感動する。米国人に送った。
いかに家族と自分を犠牲にしている涙涙の物語か。
定年間際まで作業着。ジャパニーズドリームはない。
技術の蓄積はそれがないとできない。
日本がVISIOをやりたいのか。
自動車にはそういうことおきない。何が違うのか。
それを説明するのがアーキテクチャ
DVDはそれが一気におきた。
光ピックアップとか。
SONYとかサンヨーがもってる。
デジカメのCCDもソニーと松下。松下は部品で儲けるため
モジュール化する。
でも、左下にいくと日本企業の出る幕なし。
中国、2,3人の技術者が部品を買って組み立てるだけ。
チップメーカーがソリューションをつけてうる。
ソリューションというのは手取り足取り中国に教える。
それにより、最終製品の事業部は困っている。
産業は結局左下にいきつく。
こうなるとオールスターチームをつくったほうがつよい。
それがアメリカ。世界で一番を集める。デル、シスコ。
日本は何とかバトンタッチで差をつけようとする。
何とか残っているのが自動車。
自動車メーカー、産業全体で見たら、シートなんて、大・
中・小でいいかも。こういう世界になるとシートのコス
トが1/3になったりする。
エンジン、最新V6エンジンは投資1500億円。日産は新し
くしたら2000億近くかかる。これをいまだに各社バラバ
ラにやっている。
自動車もとっくに左下にきているはず。
右上に残れば日本企業がつよい。
これが左下になっていたらとっくに消費税上がっている。
モジュラー化。
事前にルールを決めている。
ファミレスといっしょ。
冷凍食材の組み合わせ。レンジの時間だけ。
料理人の味見はすり合わせが残っている。
その場で100%の料理する人がいなくなる。
VISIOでいいというユーザが増えている。
自動車は最後の10点にお金をはらってもらえるところ。
自動車は最後の5点、10点にお金を払う人が多い。
アウディカローラ、150万円違う。
なんでiPodのような音の悪いのが売れるのかわからない
ソニーの技術者はいう。
寝室の42inchはVISIOで十分。
シェフがその場で作ればコストがあがる。
本当に冷凍食品ができたらシェフはいらなくなる。
自動車にするために、?すり合わせする、?上に上がる。
デジカメも1000万画素と1300万画素、引き伸ばすとわかる。
機能だけで勝負するとどうしても価格競争になる。
値段って機能だけで決まっているものは少ない。
靴、服、時計とか。服の保温性と値段の相関なんてあるか。
意味的価値、これをつくりあげる。
ファミレスに対してレストランには意味的価値がある。
生産財でもいっしょ。ロームキーエンス日東電工など。
かゆいところに手が届くソリューション。3Mも。
自己表現価値・・・みせびらかしがち、みんなによくみら
れたい。
こだわり価値・・・工芸性、自分で満足。
自動車に貢献したのはヘンリーフォードとアルフレッドス
ローン。フォードはモジュラー化して車を移動するもの。
中流階級の人にも使えるようにした。スローンは、文化を
作った。車はステータスを表示するもの。
電機は文化を作る能力がない。
生産財の場合、?ソリューション価値、?ネットワーク価
値。
いずれにしても「技術があるからこそ」。
亀山も日本では大成功。技術はすごい。
亀山工場があるからこそできる。
米国でプリウス売れている。ディカプリオ、全色持ってい
る。
コア・コンピタンス難しい。
結果的にできているだけ。本当はできてるところなんてな
い。長年積み重ねた本当の強み。10年はかかる。
ヒット商品2つ続いたら、業績よくなる。
こうなるとコアコンピタンスのことなんて忘れてしまう。
まぐれじゃだめ。
本当に強いチームを作る。
田尾監督楽天もたまに2連勝。やればできる。じゃだめ。
勝ちながら育てること。
シャープの片山社長、LCDを選んで30年間とことんやって
いる。
どんな製品が売れるかなんてわからない。
ある技術をとことんやる。
シャープ、LCDは1インチから100インチまでできる。
うまくやればどっかでもうかる。ノートのLCDはあげた
。つぶしがきく。
どっかの領域でとことん強みを作っておけばつぶしが
きく。
コアコンピタンス、半分は人。シャープはLCDやった人が
1000人近くいる。それでも成功するとは限らない。
必要条件は、20〜30歳で、10年は勉強してください、
ということ。十分条件は、ここからどうやって顧客の琴
線に触れるか、ということ。
シェフはファミレスで働きたくはない。
ものづくりはすり合わせで価値をつくる。