野村克也氏

楽天の野村監督のインタビュー番組がやっていた。現役
引退時のエピソードを話されていた。


南海ホークスに23年間在籍し、沙知代夫人との関係もあ
り、退団し、ロッテ、そして西武へと移籍した。
そして、西武での阪急戦。スタメン出場をしていたが、
8回裏まで西武が3-4で一点を追う展開、この場面で1ア
ウト満塁と逆転のチャンスで打順がまわってきた。し
かしこのときに代打を告げられた。代打を告げられた
のは実働26年の選手生活でこれが唯一であった。この
ときベンチで代打の失敗だけを祈っていたという。そ
してそれが失敗したときに「ざまぁみろ」と本心で思
ったという。
しかし、帰りのタクシーの中で、「チームの敗戦を願
うようになってしまったら、自分も終わりだな」と感
じた。そして同時に自分という偉大なバッターに対し
て誰もやめろと言えないのではないか、というふうに
も思ったという。
翌日、監督と球団代表のところに引退を告げにいくと
、「長い間、ご苦労様」とだけ言われた。そのときに
やっぱり誰も自分に対して引退してほしい、とは言え
なかったんだ、自分で言ってよかった、と思ったとい
う。
でも、そのときでさえも、「ひき止めてくれ」とずっ
と心の中では思っていたのだ。


野村氏という偉大な選手であっても、ものすごく人間
らしい一面をもっているというエピソードだ。そして
、それほど人の引き際とは難しいものだということも
伝わってきた。また、味方に対して、「失敗しろ」と
いう感情を持つのもある種人間のさがなのではないだ
ろうか、ということだ。