ホールディングカンパニー

SONY元CEOの出井信之氏の「迷いと決断」を読んだ。そ
の中で、彼はSONY持ち株会社(ソニー・クレエイティブ
・マネジメント)を創り、その下に、エレクトロニクス、
エンターテイメント、ファイナンスの事業会社を置きた
かったと書いている。


一つのオペレーティングカンパニーであるソニー株式
会社がグループのヘッドクォーターも兼ねているという
構造は、本来は望ましくない。会計的にも、グループ全
体を統括するためのコストや研究開発費などは、すべて
現在の「本社」であるソニー株式会社にかかってくるた
め、同社の社員にしてみれば、「どうしてこんなにコス
トがかかるのか」と自分たちの現実と数字の乖離を感じ
てしまい、事業への現実感が失われてしまう。


それをなくす意味でも、グループ全体の「本社」があっ
たほうがすっきりするという。


ただ、これが達成できなかったのは、社員の「ソニー
式会社」に対する強烈な偶像崇拝の問題があった。要は
エレクトロニクス部門は傘下の一企業に"格下げ"となっ
てしまう。すると、「僕が入社したのはソニー株式会社
だ」「結婚式のときソニー株式会社に勤めていると紹介
されたい」という社員の気持ちになる。社員の気持ちを
無視する形では変革は生まれない。


これを読んで、腑に落ちた。自分の会社も本来であれば
こうしたホールディングカンパニー制が望ましいと思う
。相乗効果の生まない、いくつもの事業を抱えているわ
けだから。でも、確かに子会社への"格下げ"は誰もがよ
しと思わないだろう。またうちの会社には別の問題もあ
るから現実的にはできないが。


人材の採用にも影響を及ぼす。そうした子会社として採
用ができるのか、という問題がある。そう考えると、カ
ンパニー制のような緩やかな独立体制を維持するほうが
望ましいのかもしれない。


それと、「表の仕事」「裏の仕事」という表現が気にい
った。何かをやろうとするとやっぱり「裏の仕事」にな
るんだろうな。