「クリエイティブクラスの世紀」

【読書】
☆☆
「クリエイティブクラスの世紀」 リチャード・フロリダ


どんな新しいことが書いてあったかと思えば、そんなにたいしたこ
とは書いてなかった。


1. アメリカ多様性の受け皿だったが、今の政策はそうなっていな
い。
2. カナダ、オーストラリア、北欧、アイルランドなどが台頭クリエ
イティブクラスを引きつけている
3. 重要なのは、3つのT(Technology, talent, tolerance
だから、もっと開放性のある文化を築いて、クリエイティブクラス
の人材をひきつけよう、みたいな内容。


そもそも"クリエイティブクラス"とは何か、というのを知りたかっ
たのだが、それは、エンジニア・デザイン ゲイ・女性・移民・学
位取得者・芸術者、などというものだった。ちょっと具体性には欠
けた内容だった。ビジネスというよりは社会学に近いのかな。たぶ
ん前著書の「The Rise of the Creative Class」の中にそういう記
述はあるのだろう。


そんな中でも気になった内容をいくつかピックアップ。
・原材料から製品をつくる古い産業システムから、人間の才能と創
造力の限界のみが制約であるクリエイティブ経済へとすべては日
 々新たに変化している。
・多くの人は給料が下がっても、刺激的な仕事をする機械と「新し
 い何かをつくり出す」ことへ参加していることに、何度となく喜
 びを表した。つまり、人間はクリエイティブな仕事が好きなのだ
 。

・自分のアイデアが貢献できる場所を見つけられた。
・狩猟や採集ではなく牧畜を始めるとか、人力や馬力の変わりに蒸
 気エンジンをつくるなど、何か新しいことを人間は考えついてき
 た。
ノーベル経済学賞ハーバート・サイモンは、60年に、流れ作業
 の工場とデスクワークは自動化され、その一方でマネジメント、
 イノベーション、デザインといった分野で新しい仕事がつくり出
 されるだろうと書いている。
・製品のデザイン、製造プロセスのデザイン、マネジメント全般と
 いったことに責任を持つ専門性の高い人々が、かなりの数必要に
 なるだろう。
・職業分類
 1.専門的思考
   クリエイティビティや専門的問題解決力が必要な職業。新し
   いデザイン、疾病診断、創作料理など。
 2.複雑なコミュニケーション
   Face To Faceで相手にモチベーションを与え管理する分野の
   仕事。
 3.定型的な頭脳労働的作業
   よく整理された論理的なルールに従って行う。コールセンタ
   ーやデータ処理センタ、ソフトウェア。
 4.定型的な肉体労働作業
   ブルーカラー的な組み立てラインの仕事など。
 5.不定型な肉体労働作業
   自動化が難しい肉体労働的作業。ヘアカットやハウスクリー
   ニングなど。
 今後成長が期待されるのは、「専門的思考」と「複雑なコミュニ
 ケーション」。


・いちばん重要なポイントは、すべての人間はクリエイティブであ
 るという点。
・3つのT(Technology,Talent,Tolerance)
・差異を受入、生産的に吸収していく。標準からはずれたアイデア
 や情報に寛容であるということは、政治的正義のためではない。
 経済成長のために不可欠なのである。
・原材料や所有はその潜在能力を失い、一方アイデアが社会におい
 て相対的に経済価値を生むようになる。
・都市や地域が何をすべきかという問題に、3つのTのうち、劣って
 いるものは何かを見極め、劣っている要素には戦略的に投資。
・「ラッテ指数」(スターバックスの出展密度)
・どんな人々がどんな職業がその地域から外へ出ていっているのか
 、あるいは入ってきているのかを見ることで、より多くのことが
 わかる。
・参考図書「文明の衝突
ライト兄弟は飛行機で一儲けしたかったわけではなく、有人飛行
 を夢見て、実際に夢を追いすぎて自転車店の商売のほうにはさっ
 ぱり身が入らなかった。
・クリエイティブな人はお金持ちになりたいがために一生懸命にな
 るのではない。金銭よりも内発的な報酬のほうが大事。
・雇用の海外流出は、長期的にはおそらく経済にプラス。
・頭脳循環
・かつてアメリカには美しい多様性がありました。しかしもうそれ
 は真実ではない。
・理工系人口指数
アメリカ人の信仰心は飛びぬけて高い。アメリカ人の92%は、神
 を真摯手織り、85%は聖書は神の言葉だと思う、74%は死後の世
 界を信じている。
アメリカ人の価値観は先進国の一般的なものよりも発展途上国
 のそれに近い。
・寛容性と多様性という意味での真のリーダーはカナダ。
アメリカが急激にダメになるとか他の先進国が全てを手に入れる
 ということもないだろう。
・現在、先進国では人口の3/4が都市に住んでいる。
・イタリアの衣類製造における伝統的な産地は、デザインと高付
 加価値に特化して発展していった。
・ただハンバーガーを焼いたり、箱を積んだり、部品を組み立て
 たりする程度のことをさせるために何百万人もの人間を雇うシ
 ステムが奴隷に綿花を摘ませるのと同じくらい経済的にも倫理
 的にも時代遅れなことだと思われるようになる。
・所得格差が拡大するのに伴って、社会の流動性も低下している
 。
・無限の資源である人間の思考
・過去500年で世界的なパワーバランスの移動は2度。
 最初はヨーロッパの台頭。17世紀後半はヨーロッパは世界でも
 っとも裕福で変化に富み領土拡張に年真。2度目はアメリカの
 台頭。南北戦争から第1次世界大戦にかけて唯一の超大国
・いまは中国とインド。
・カナダとオーストラリアは比較的開放的な社会だが、世界を支
 配するほどの強い技術力や市場規模がない。インドと中国は、
 市場のサイズと技術の将来性も、人的資源の基盤もあるが、
 世界を舞台にする才能をひきつけるような開放性や寛容性が
 ない。北欧は確たる技術の社会資本もあるが、超大国というに
 は単純に国が小さすぎる。
・現代の世界経済における最も重要な事実が人の移動。
・もし労働者が日々の意味を求めることに満足していれば、賃金
 を上げ、高い社会的地位を与える必要もないだろうとの見方が
 出てくるかもしれないが、それは間違っている。仕事における
 自己実現は重要だが、生活、安全、保護といった基本的事項に
 配慮がなかったとしたら私たちが利用し、そこから便益を受け
 る場所である店舗や施設、工場などに対して彼らが意義ある貢
 献を傾けるとは期待できない。
・大学は移民管理局。
・まずはすべての子どもたちを賢くクリエイティブに育てること
 。
・すべての人々は人様の子どもへの依存が強まっている。
育児支援政策は子どものいない人への差別だといった理由で不
 満を抱く人もいるが、それは間違い。
・「医者がどこから来るのか」
 このシステムを支えている子どもたちの親に、増加していく養
 育費のほとんどを強いているのに、そこから創り出される価値
 の分け前はちいさくなっていくばかりというのは、本当に皮肉
 あこと。
 小学校の先生はカジノのディーラーになtったほうがよっぽど
 稼げる。
・これからすべきことの例やモデルとなるのはどの地域か?
 私はその地域に独特なものに注目kするようにと続ける。
トロントストックホルムヘルシンキなど。
・参考にすべきはミネアポリス=セントポール
・人種・民族の違いを消そうとしたメルティングポット社会
・モザイク型では市民に対して自分が望むままの自分をパズルの
 ピースにしなさい。
・頭脳は循環するものという意識で取り組むことが重要。