氷屋さんと冷蔵庫
事業の捉え方は大切な問題である。特に「代替品の脅威」を捉え
られるかどうかに大きく関わってくると思う。
1つの例が、氷産業である。昭和30年代、電気冷蔵庫はまだ普及
しておらず、冷蔵庫は氷で冷やすのが常識だった。氷屋のビジ
ネスのコアは、いかに氷を効率よく作り、効率よくは運ぶか、だ
ったはずである。
しかし、いつの間にか電気冷蔵庫が普及し、氷産業は消えてしま
った。彼らは、自分たちの事業を「氷を作ること」として捉えて
いたため電気冷蔵庫の登場に対して何もできなかった。もしも、
「モノを冷やすこと」と捉えていたらまた変わったかもしれない
。(たぶん、難しいけど)
要は代替品の脅威は、別の産業からやってくる、ということであ
る。事業の捉え方が的確でなければ、気づいたときには手遅れに
なってしまう。
大前研一氏の「企業参謀」の中に別の例がのっていたので紹介す
る。それは洗濯機についてである。
- 超音波洗濯機により洗剤を使わずに汚れが落ちる。
- 新化学材料によりつけておくだけで汚れが落ちる。
1において考えれば、消費財メーカーにとっては事業が1つなくな
ることを意味し、2において考えれば、電器メーカーの事業が1つ
なくなることを意味する。
消費財メーカーが「洗剤事業」、電器メーカーが「洗濯機」とし
て事業を捉えていたら、こうした未来への不確実性への対応は難
しくなる。
ビジネスを捉える上で、
- 目的(オブジェクティブ)
- 範囲(スコープ)
- 切り口(パースペクティブ)
は大切である。
何のために、どの範囲で、どのような視点で考えるか?